庭や畑に生えている渋柿・・・たくさん実はつくのにそのまま捨ててしまうのはもったいないですよね。干し柿にも飽きたし、他に何かに利用できないかと思っている方は多いはず!そこで、今回は渋柿を使って柿渋を作ってしまおう!というお話です。
そもそも柿渋とは?何に使えるの?
そもそも柿渋とは、渋柿の実を発酵・熟成させてしぼりとった液のことです。日本では昔から天然塗料として、建物の塗装・布の染色などさまざまな用途に使われてきました。一見馴染みがなさそうですが、身近なものだと消臭効果のある石鹸や歯磨き粉なども販売されていて、購入したことがある!という方も多いのでは^^
最近では、奈良県立医科大学が「柿渋」のウイルス不活化効果を実験で確かめたと発表したことから、その抗菌作用が注目を集めています。
柿渋の作り方は意外と簡単!
柿渋を作るには、少し時間と手間は掛かりますが、作り方はシンプルなので一度覚えてしまえば簡単!自家製の柿渋はいろんなシーンで活躍してくれること間違いなし^^
<柿渋液の作り方>
柿渋液を作るには渋みが強い柿ほど良いとされているので、タンニンを一番多く含んでいる、8月の末から9月の頭くらいの渋柿を使います。
- 柿は青いうちにヘタから傷つけないようにもぎ取ります。
- 収穫したらすぐに皮ごと金槌で砕くか、ミキサーなどで粉砕します。
- カルキを抜いた水道水か、井戸水や湧き水に浸します。(ひたひた程度)
- たまにかき混ぜながら、4~5日位置きます。
- 発酵し、臭いがしてきたら、ろ過して圧搾します。
- あとは口の小さい容器(ペットボトルやビン等)で1年間寝かせて発酵させれば完成です。沈殿物は使わず上澄みだけをすくいとり使います。
作業は必ず柿を収穫したその日のうちに行ってください。そうでないと、渋の成分が変わってしまい柿渋ができにくくなるそうです。また、保存する際は鉄製の容器は柿渋のタンニンと反応して黒くなってしまうので避けてくださいね。
使用する道具や衣服は柿渋が1度でも付いてしまうと染色されてしまうので、専用のものか色がついても良いものを使いましょう。
【柿渋の作り方】塗料で使う場合は?
柿渋を塗料で使う場合は木材や布の染色、和紙の着色に使えます。防虫・抗菌効果もあり、自然で暖かな風合いが楽しめますよ^^
木材に塗布すると淡い色に。
木材の塗料に使う場合は原液を水で薄めて使います。木材にサンドペーパーをかけてから、木目にそって重ねていくときれいに塗ることができます。もし表面に塗りむらや空気が入り泡になった場合は布で拭き取りましょう。色を濃くしたい場合は乾かしてから塗り重ねます。
左が柿渋塗った木材
— メダンジ工房 (@medanji_kobo) 2019年3月29日
右が無垢の木材
乾かないうちでも多少は味のある色に
柿渋塗って日に当てると色が濃くなるらしいから、朝から晴れるといいな pic.twitter.com/4O4MWYQ6h6
自然な茶系に布を染めたいときの塗料にも。
柿渋で布を染色する場合は、たっぷりの柿渋液に布を浸して染めます。絞って陰干しし、乾いたら2~3日ほど天日干しします。ムラが出やすいので、均等に染めるのはなれるまで難しいですが、もしムラが出ても味として楽しみましょう(笑)ゴムで絞って柄をつける絞り染めもいいですね!布は化学繊維より綿や麻などの天然繊維が染まりやすくおすすめです。
柿渋紙と柿渋布完成
— かじか@鮎掛鰍 (@kazika647) 2016年3月29日
紙の方このまんまテクスチャにでもできそうな感じやん pic.twitter.com/SVLbF2xq7q
和紙に着色することも。
和紙も柿渋で染めると落ち着いた色合いになります。刷毛で塗っても良いですが、液に浸してから絞るのが一般的だそうです。和紙の有名な地域では、柿渋で染めた和紙で作られたバッグや帽子なども販売されているようですよ!
高知の田舎で見られる 土佐和紙を柿渋で染める風景
— 山本 陽平 (@yohey_yamamort) 2019年12月3日
週末のマルシェに向けて 準備中 pic.twitter.com/DQXAdsX8Qe
【柿渋の作り方】甘柿でも作れるのか?
柿の渋みのもとはタンニンですから、甘柿でも作れるのでは?と思い調べてみたところ、甘柿のタンニンは水に溶けない分子なので、柿渋としては使えないとのことでした。うーん、残念!甘柿はおいしく頂くのが一番ですね(笑)
まとめ
今回は柿渋の作り方や利用方法についてご紹介しました!柿渋は防虫・抗菌効果もあって、何とも言えな自然な風合いに染まるのでぜひ身の回りの物を染めてみたいですね。
そういえば、奈良には高さ8メートル直径18.2メートルの「柿博物館」があるそうですね!柿の歴史や食べ方、使われ方などを学べて非常に面白そうだと思いました。
ではまた!